胃がんなどにより胃の全摘出をすることによって起こる様々な障害。
ダンピング症候群として知られるが、実際の私自身の体験談や同じ状況に悩む方々の意見を交え、症状を書き残したいと思います。
※症状は記者本人の実体験または同じ胃の全摘出者の体験によるもので、すべての人に当てはまるものではありません。
早期ダンピング症候群
胃を切除すると、糖分の高い食べ物が十二指腸や小腸内へ急速に流れ込み、血糖値が急激に上昇することで、ホルモンが分泌されて起こる現象。
食後30分程度で起こると言われるが、実際には差があり、食事中や1時間後に起こる症状もあり、その状態も様々です。
冷汗・発汗
食事中~食後30分程度で起こりやすい。
悪寒を伴うこともあり、汗の他、鼻水、痰等体中から水分を出すような感覚がある。
動悸
食後30分~1時間程度で起こりやすく、後期する別のダンピングにもにた症状。
鼓動が激しく感じ、アレルギー症状に似たような息苦しさを伴うこともある。
眠気
食後30分~1時間程度で起こりやすく、後期の腹痛と併せて来る場合もある。
他の早期ダンピング症状等により身体を起こしているのが辛く、横になっていると、倦怠感を伴い眠気で足田を動かすことが難しくなってくる。
腹痛
食事中から食後1時間程度で出る症状。主にへそから下辺りが痛むのが特徴で早期ダンピングメインの症状とも言える。
脱力感
食後1時間程度で起こる症状で、手足に力が入らず、腹痛を伴うと、腹筋に力が入らなくなる。
横になっていると回復してくるが、そのまま後記する別のダンピング症状に移行する場合もある。
下痢
食後1時間~2時間程度でくる症状で、下痢である。
胃全摘出後障害を持つ方は常にこの症状で悩んでいる事が多い。
後期ダンピング症候群
胃に弁が無いため、腸へ急速に食べ物、糖質が吸収され、インスリン(血糖を下げるホルモン)が大量に分泌し、血糖が下がり過ぎることで起こる症状。
症状が出た際はチョコレートや飴などを少量食べることで緩和することができる。
意識朦朧
食後1時間から3時間程度で来る症状だが、気づいた時にはすでに意識朦朧としているため、自分でも何が起こっているのかわからないことがある。
テレビを観ていてもなにを喋っているかわからなくなる等重い症状が出る場合や、意識を失い倒れることもある。
頭痛
食後3時間程度で出てくる症状で、ひどい低血糖に陥った際に感じている気がする。
震え・しびれ
頭痛と同じ様なタイミングで発症し、暑いのか寒いのか手足の震えやしびれ以外にも頭の先までしびれた状態になることも。
逆流性食道炎
上記の食後に起こる痛みとは違い、慢性的に感じる胸部の痛み(記者の感覚です)
胃酸が逆流し起こる通常の逆流性食道炎とは違い、胆汁の逆流によるものなのか様々な状況があるようだ。
胃痛
胃は無いが、胃痛によく似た痛みである事が多い。
胸部の全面や背中など日によって痛む場所が違うこともあり、薬物投与で緩和される感じも薄い。
食べる食べないに関わらず痛みを伴っていて、日によっては吐き気も伴う。
悪性貧血・吸収障害
胃の摘出により吸収できなくなったビタミンB12や鉄分等の低下により起こる貧血。
手術による貧血ではなく、その後の栄養状況による状態。
骨折
貧血によるふらつき、骨密度の低下により骨折の機会が増える。
記者は2年で2度骨折し、その他に背中の激痛(骨折に近い痛み)を経験している。
脱力
慢性的な脱力、貧血を起こし、ひどいときには座っていても立ちくらみをしている状況に陥る。
睡眠障害
精神的な不安からか、胃の全摘出者には睡眠障害を抱えていることが多いようだ。
ジャーキング
慢性的な不眠とは別で、眠りに落ちそうなときに急に「ビクッ」として目が覚めてしまう症状をジャーキング現象とよぶらしい。
自分の意思とは関係なく、体が勝手に動いてしまう現象で「不随意運動」と呼ばれる生理現象の1つと言われている。
頭内爆発音症候群
上記のジャーキング現象とは別で、眠りにつくときに感覚の神経系の働きがうまくいかず、音が鳴ると推察されている現象の一つ。
私の感覚的にはジャーキング現象よりも不眠状態が続き、眠気が強いときに起こりやすく、身体はほぼ寝ていて、頭は1/4程起きていて、そこから眠りにつくタイミングで起きるイメージです。
症状としては、寝落ちの瞬間急に耳、鼓膜あたりが塞がり気圧の変化で限界を迎え破裂したような爆音がなり、目が覚めます。
ただし、かなり眠気が強い状態にあるため、身体がビクッ反応するわけではなく、そのまま再び眠りに落ちそうになり、また爆音で起こされるというループに陥る症状です。
しかし頭内爆発音症候群ってものすごいネーミングですね。
耳鳴りのようなと表現する人もいれば、本当に爆発する音に聞こえる人、私は鼓膜に気圧をかけられて耳鳴りから始まり、最後に破裂する感じです。
胃切除後胆石症
胃の全摘出手術の際に、胆のうの運動機能を司る迷走神経を損傷するため、胆のうの収縮機能が低下し、胆石が発生すると言われています。
胆石ができやすくなると、胆汁内の細菌が増殖して、胆のう炎になる確率が高くなるようです。
鬱
上記の症状が長期化し、ついには鬱に発展する方も多いようです。
胃全摘出後障害は様々な状態を引き起こしますので、なにか症状を感じたらまず主治医に相談し、状況に応じ心療内科に相談に行くなどして、対策をゆっくり考えていきましょう。