胃癌による胃全摘出手術

胃癌患者の印環細胞癌による胃全摘手術の入院から手術が終わるまでの記録。

手術前の検査

手術日よりも数日早く入院し、大腸カメラによる検査。

大腸カメラ用の食事(ほぼ水分)を前日に取り、翌日大腸カメラに挑む。

午前中に下剤2リットルを数時間かけて飲み、便がほぼ透明になるまでトイレとお友達。

下剤はモビプレップというスポーツドリンクを少し薄めた味で飲むこと自体は苦痛ではなかった。なかなか便が透明にならず、お尻が徐々に痛くなるのが大変なくらいだ。

午後に大腸カメラ。口からの胃カメラよりは随分楽だが、少し長く感じた。大腸に転移などは見つからず安心。

手術前日には口からの胃カメラ。拡大のものとは違い楽だった。

切除する箇所の確認だという。胃カメラは午前中に終わり、お昼ごはんは通常食。胃がご飯を入れるのは文字通りこれでラストになる。

大量のお酒、辛いもの、脂っこいものをよく消化してくれました。そして無理をかけてしまった結果だと思う。

手術前日夜、腹部の毛剃とおへそをきれいにしてもらう。寝る前に安定剤(不安で寝れなくなるのを防ぐ)、下剤(お腹の中のものを全部出す)、胃薬(不安で胃が荒れるのを防ぐ)と3つの薬を飲み就寝。安定剤のおかげかすぐに眠れた。

胃全摘出手術当日

朝イチでシャワーを浴び、硬膜外麻酔のチューブを背中に入れるためペインクリニックへ。

背中に麻酔を打ちチューブ挿入、意外と痛みもなく入る。テストで氷を下腹部に当てるが冷たさを感じない。へそから上には効いていないようだったが、返事を曖昧にしたことが術後の後悔を招いた。

部屋に戻り手術用の服に着替える。ストレッチャーに乗り込み手術室へ移動。手術室には10名前後の医師や看護師さんが居て緊張感がある。手術室では事前にリクエストした通りリラックスできる音楽が流れているに気づいた頃、氏名、生年月日などを聞かれ手術が開始された。

点滴の箇所から薬が流される。おそらく背中のチューブにも薬が流れているのだろう。

医師から「まぶたが重くなってきますよ」と言われると同時に本当に目が開きにくくなる。普段なら意地でも耐えて目を開けてやろうと考える性格だが、手術を見るのは怖いので(無理だろうが)おとなしく目を閉じる。目を閉じた瞬間から記憶はない。

胃全摘手術の内容

今回の手術ではRoux-en Y (ルーワイ)法という手術が行われた。

簡単に言えば、胃を全部取り、小腸を上に引っ張り食道にくっつける手術になる。胃の機能は完全に失われるため、様々な障害が起こる。

胃の消化機能の代わりに口で良く咀嚼、胃液の代わりに唾液をいっぱい出す。ビタミンB12が摂取できなくなるため定期的なビタミン注射が必要になるという。

胃全摘出術後

大きな声で名前を呼ばれ、「終わりましたよー」の声で麻酔から目を覚ます。

と同時に腹部の痛みが襲ってくる。痛みの種類は違うが、昔かかった帯状疱疹に近いくらい痛い。

普段いる個室ではなく、ナースステーションの隣の大部屋に運ばれる。

ひたすら傷口が痛く、意識を失いたいが痛くて失えない。

気づけばおむつを履き、尿道に管が通り、横腹にも管が通って居て、血のようなものが流れている。我ながら痛々しい。さらに鼻に管が通っており、喉を通り胃ではなく小腸までつながっているようだ。これが一番煩わしい。常に喉を刺激し不快でしかない。

術後当日はまったく寝ることはできず朝を迎えることになった。